自然薯求めて悪あがき [とろろそばが出来るまで]
とろろそばを作ることが大前提のこのブログですが、なんともショックなことに、自然薯堀りのシーズンはとっくに終わってしまったんだそうです。余裕をかましていたら痛い目に遭ってしまいました。反省。 |
text by 小川 恭
己の手痛いミスによって、自然薯ゲットが危ぶまれる状況に。
うーん、と考えてコッソリ手頃な山に忍び込もうかとも考えた。
だが、おそらく誰でも山の幸取り放題!なんて山はなく、どれもきっと誰かしらの所有物。ヘタをすると立派な窃盗になってしまうかもしれない。ヤマイモ盗んで拘置所行き、というのはあまりにもお粗末すぎる。
あれこれ悩んだ結果、「産地に直接行ってしまえば、なにかしら手がかりを得られるのでは?」というところに行き着いた。
ネットで見て「ここがあるなら後回しにしても大丈夫よねー」とすっかりその気になっていたのが、電話で直接話してみたら全然だめだった、というのを味わったせいもある。
何事も机上の空論ではだめなのだ!直接行って、見て、話してみなければ!
…なんとも方向違いな感じがするが、私はすっかり青い新人政治家のような気持ちになって、車を走らせたのである。
そして
着きました
着いたのは、千葉県長柄町の道の駅である。
実は当初予定していた自然薯オーナー制度がこの長柄町で行なわれているものなのだ。
前回のやりとりの再現では省いたが、その自然薯の生産組合の方々が、時々ここで行なわれるイベントにかり出されていると、前回の電話の中で言っていたのがずっと頭に残っていた。
それで、悩みに悩んだ末、もうこれは行ってしまうしかない、と思い立ったというわけだ。
もしタイミング良くその組合の方々と直接お話しでもできれば、じゃあなんとか工面してみようか、なんて話になるかもしれない。そんな都合のいい妄想を抱えていたことも否定出来ない。
とりあえず中へ
「あわよくば組合の人と話を」という期待をずっと胸にしてやってきたわけだが、着いて中に入るなり、全部飛んだ。
あ、あれは!
いきなり見つけた
入ってすぐの一番目立つ位置に、自然薯がずらりと並べられていたのである。
やたら安い
この値段を見てさらにぶっとんだ。なんだこの値段は。高尾山のおみやげ屋でも自然薯は売っていたが一本4000円とか5000円とか普通にしていたぞ。あれは一体なんだったんだ。
しかも長い
量も立派なもんである。私の頭の先から腰くらいまである。座高の高さでは右に出るもののいない私と張るとはかなりのものだ。折れてしまわないようにものさしのような竹の板にくくりつけられて袋に入っている。
太さはゴボウのちょっと太いの、くらいで細いのだが、そこをカバーするように2本組。非常に良心的な品物だ。
こんなのもあります
細長いものばかりでなく、ずんぐりむっくりなこんな自然薯も。大きさや形によって値段は変えられているが、それでもみんな十分安い。
自信のみなぎるポップ
他の農産物にもそれぞれポップが付いているのだが、ひときわ大きく目立つように貼られている。
魅惑の道の駅
すっかり自然薯に魅入られて写真をばしばし撮りまくっていたので、そばでキャベツを選んでいたおじさまに笑われた。
そう、自然薯ばかりをあつく紹介してしまったが、他の農作物もひけをとらない充実っぷりだ。
「道の駅」と聞くと、一般道にあるサービスエリアみたいなものを想像するが、ここはとにかく農作物の直売所に特化した道の駅である。
直売所に休憩所と観光案内所がくっついたようなスペースがあるが、レストランなどはない。予想と全然違っていたので、最初は少しがっかりしてしまった。
しかし、それでもここならまた来たいと思ってしまう。
だってとにかく
安いんですよ
いろんな種類の野菜が所狭しと並べられ、そのどれもが安く、しかも美味しそう。
青々とした葉をつけた大根なんて70円だった。やっすい。
値段の上にはそれぞれの生産者の名前が書かれている(※個人のお名前なので画像加工してあります)。
こじゃれたスーパーなんかだと、生産者の名前が入っている野菜は、普通の野菜より1.5倍増しの値段になっていたりするが、ここでは格安で手に入る。素晴らしい。
その他にも見慣れないこんな野菜も。
ビタミン菜?
菊芋?
ビタミン菜はたぶんビタミンたっぷりの葉野菜なんだろうなー・・でもなんだこの菊芋って?見た目は根ショウガ以外の何者でもないが…いいや買っちゃえ。
思わず菊芋もカゴの中に。気付けば手を頬に当てたおばさんスタイルでじっくり物色。
カゴの中はお目当ての自然薯以外もどんどん増えていく。
本気買い
当初の「地元の人に聞いてみる」目的をここでやっと思い出し、とりあえずレジをしてくれた方に聞いてみる。この長柄町で、自然薯のオーナー制度ってやってましたよねー…
「ああ~あれはねぇ、やっぱり秋なのよねぇ。今年はもう終わっちゃったわよー」
…ああ、やっぱり…。
「自然薯目当てで来たの?今出てるやつはみんな栽培。天然物も朝のうちはあったんだけどね。すぐ売り切れちゃった。でも高いよ。4~5000円はする」
そうか、破格だったのにはそういう理由が。高尾山の自然薯も、決してぼったくりではなかったのね。
「でも味は同じよ。ここの自然薯は美味しいよ!」
結局、直談判して自然薯堀りをさせてもらうという期待は叶わなかったが、それでもこんな良い場所に来られて満足。スーパーの長芋でお茶を濁す、ということはしないで済んだだけまだましか。
とりあえず自然薯を手に入れられてほっとしながら家路についた。
また来てね(クマより)
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