そばがらで枕を作ろう その2 [とろろそばが出来るまで]

ついに蕎麦の里のオーナーイベントが全て完了してしまいました。とても寂しいです。あとはいただいたそば粉でとろろそばを作るだけ・・・なんですが、そうは問屋がおろしません。そばから取れるのはそば粉だけじゃないのです。大事な副産物を有効活用してみました。

text by 小川 恭

思い切ってそばがらを洗ってみたら、アクがものすごく多く、発酵してるのでは?と思うほどの泡が出てきた。


洗えども洗えども水が濁る

さきほど水をぶっかけた張本人の友人も「これやらない方が良かったかね・・・」と途端に弱気な言葉をこぼしている。

そうは言ってももう仕方ない。とりあえずざばざばと洗って、洗面器いっぱいになったところで台所に移動し、煮沸の準備にとりかかった。

これから煮ます

我が家で一番大きな鍋に湯を沸かす。ぐらぐらしてきたところで鍋一杯にそばがらを入れる。ちょっとかき回すと・・・


透明だった鍋のお湯が


真っ茶色に変化

そばがらの変化具合がいちいち恐ろしい。やればやるほどどつぼにはまっていくような感じがするのだ。「ほらーだから止めとけっていったのにー」と湯の中のそばがらに言われている気がする。

煮始めたら始めたで、どのくらい煮ればいいのか分からない。すべてが手探り状態である。真っ茶色の鍋がぐっつ、ぐっつと煮立っているさまはまるで地獄の釜だ。

そういえば

鍋の地獄っぷりに見とれていたら、すっかり残りのそばがらを洗うのを忘れていた。はっと気付いて風呂場に戻ると、友人がすっかり洗い作業を終えていた。


終わったよ

・・・たまたま今日仕事が休みだというので、人手が必要だと思い呼び出したのだが、まさかそばがらを延々洗わされるとは思っていなかっただろう。終始「俺はここで何をやってるんだろう」という顔をしていた。申し訳ない。

次のそばがらが用意できたので、先に煮ていたそばがらを鍋から上げる。


あぢゃぢゃぢゃぢゃ

シンクにざるを置き、その上に風呂敷を敷いてざーっとそばがらをあける。湯気の量がハンパじゃない。メガネが一気に曇る。


湯気すげえ

風呂敷を敷いたのはそばがらがざるの隙間からこぼれないためと、水気を絞るため。


茶巾の要領で絞ります

これがまたあっつい。菜箸なども使うのだが、しっかり中の水を出すためにはかなり強く絞らないといけないので手も使ってぎゅうぎゅうと絞る。熱いうちの方が水分が飛びやすいので、なるべくすぐに絞って干したかったのだ。

指先がピリピリと痛くなるころにはなんとか水がしたたらなくなった。

すぐにベランダに運び、新聞紙を敷いたざるの上に広げる。


ばさばさ

せっかく熱いうちに!と意気込んで慌てて持ってきたのに、ぴゅうと吹き込む北風のせいであっというまにそばがらが冷めた。痛む指先が悲しい。


でもとりあえず干せました

残りのそばがらも同様にぐつぐつと煮込んで干した。計大鍋3杯分のそばがらである。全部の作業が終了したのは、もう陽も傾きかけた頃だった。


絞ったけどまだびしょびしょ

これが乾いたらちゃんと元のそばがらに戻るのだろうか。疑問を抱きながらこの日は終わった。

干し2日目

はじめ大きなざる2つに広げて干していたのだが、かき混ぜてみると下の方は全然湿ったままだったので、結局ベランダ一杯に新聞紙(※それを見ていた父が「それじゃしまうとき大変だろうが!」とブルーシートに移し替えていた。マメだ。)を広げて干した。


ベランダ占領


まだまだ湿っている

そばがらは一向に乾く気配を見せない。
このまま腐ったりかびたりしてきたらどうしよう。
やけどした指も治らないうちにそんなことになったら浮かばれない。

干し3日目

しかし、冬の乾燥した天気がそうはさせなかった。

三日目にもなるとさわり心地が最初のさらさらした感じに戻ってきた。


遠目には大差ありませんが


端が反り返ったら乾いた証拠

あと一日も干せば、もう大丈夫だろう。

枕にします

乾燥したそばがらを、目の一番細かい洗濯用ネットに入れる。サイズといい、使い勝手といい、枕の中身にするにはもってこいだ。

ブルーシートからざざざっとネットの中に移す。

・・・ありゃ。


ちょっこり

洗面器にすると大盛り2杯、大鍋3杯に相当したそばがらは、乾かしてみたらネット半分の量にしかならなかった。なんのマジックだ。

それでも均(なら)せばちょっと小さめの枕一個分くらい。


手頃な大きさに折って

枕カバーに入れる


持ち上げるたびに鳴るしゃらしゃらという音は、まさしくそばがら枕のそれだ。ふんわりと香るそばの匂い。ぎゅっときめが細かく詰め込まれているような、少し固めの感触。子供の頃使っていたそばがら枕を思い出す。


感触を確かめる

「頭寒足熱」という言葉があるが、そばがら枕はそれにぴったりで、通気性・吸湿性に優れ頭をちょうどよく冷やしてくれるのだそうだ。
この感触はやはり良い。できあがるまでに約4日を費やし、やけどと腰痛(洗うときの体勢により)がくっついてくるけど。

最初から、は大変かもしれませんが、市販のものを使えば簡単にできます。
みなさんも、そばがら枕いかがでしょうか。


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zicomi

そば粉まみれのそばがらから、ついに枕が出来たのですね。昔、祖母が作ってくれたそばがら枕を思い出しました。
by zicomi (2007-12-30 17:53) 

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