酉の市 やっぱり熊手がすごいぞ。 [あらゆる祭りを楽しもう!]
来年のカレンダーや手帳が並び始め、ああ今年ももう残すところわずかになってきたなあ・・と思い始めると、各地で開かれる酉の市。 |
text by 和田 朗
では、大鷲神社脇の道から、熊手を扱っている大通り方面に歩いていこう。
③からスタート
この通りは、一本隔てた「よこはまばし商店街」と平行して走っている道で、元々飲食店が立ち並ぶところでもある。なので、今までの道に比べて、その飲食店がやっている「店を開け放っての屋台」が多く、いかにも祭り然とした屋台より、近所のお得意さん交えて昼からもりあがっている通りでもある。
並んでいるのも、韓国料理店の前ではチヂミや辛目のスープ、洋食屋の前では、リブステーキと更に食指が動くこと間違いなし。
その人混みをくぐり抜け、突き当たった道を右手に見れば、そこはめくるめく熊手屋ストリート。
左手奥に立ち並ぶ熊手屋が見える。
食べ物屋台と違って一つ一つのブースが大きい。ブルーシートを貼った壁も、高さ数メートルはあろうか。側面、後ろの壁に大きな熊手をずらずらと陳列している。それにしても、生で見る熊手のでかいこと。でかいこと。
右手におれてすぐの熊手屋。上の方にいくほど、熊手が大きい。
小さいモノは団扇サイズから、大きなモノになると、6畳間くらいの部屋だと壁一杯になってしまうのではないだろうかというくらいの大きさである。
熊手を支える持ち手の部分も直径10センチは下らないであろうという太い竹を使っている。間違いなく一人では支えられない大きさだ。
このサイズになると、予約注文も入っているとみえて、モノによっては「○○建設」やら「株式会社○○」などと名前が入っているものもある。
いやーいくら会社とはいえ、こんなに大きいのどこに置いておくのだろうか・・・社長室?
とんでもなく大きい。
道を占めるのは、大概私のように「酉の市の雰囲気を楽しみに来た」客達であるが、それでも歩いていればしばしば熊手を買う光景を見ることが出来る。
誰かが熊手を買うと、店の人達が「○○さん、お買い上げ!」と店員全員に呼びかけ、3本締めが始まるのだ。
「いよーーーーっ。」パパパンパパパンパパパンパン!
あ、めでてえなあ。ってな感じだ。
パパパンパパパンパパパンパン!
こちらのお店では火打ち石。
火打ち石をカチカチとうち鳴らす店も見た。
わお、火打ち石をうち鳴らすなんて時代劇でしか見たこと無かった。
熊手は「福をかき集める」という意味があり、もちろん誰が買ってもいいものだが、私の勝手な思いこみで「客を呼び寄せる」イメージが強く、どうしても商売をやっている方が買う物という気がしてしまう。
友人知人の家では見たことが無く、食事に入った店などで小さな熊手が飾ってあるのをたびたび目にする気がするからだろうか。
そんなことを考えながら歩いていたら、ホストらしきお兄さん達が大きな熊手を買っているのを目撃してしまった。
大鷲神社のあるあたりも商店街であるが、そういえば、ここからほど近く、横浜の歓楽街、伊勢佐木町ブルースの伊勢佐木町があるのである。
ううんーなんかいいな、裏に大きな熊手のあるホストクラブ。
熊手と長髪スーツ姿が華麗にマッチ。
「もう、お店何年になった?」
「そうかー、頑張れよー。」なんて熊手屋のおっちゃんが話しかけている。毎年この店で買うのだろうか。
10数店に及ぶであろう連なる熊手屋を次々に覗いていくと、熊手屋ごとに熊手のデザインが異なるのが面白い。
基本は、米俵や鯛、おかめ、小判、などが並んでいるのだが、その並べ方や土台の形の作り方で、派手なものや、丸っこく可愛らしいものまで。
また、店によってちょこちょこっと遊びの部分を出しているものも飾ってあったりする。
ガンバレ風太くん!
木目込み(きめこみ)人形風
福、とかけて「梟」
お内裏様とおひな様?
かあっちょええ!上り龍!
買っていたお客様の名前がずらり。
それはそれは、綺麗に作り上げられた熊手達。
これだけ意匠の凝ったものではあるが、一年限りの縁起物、来年は新しいものに変えられてしまうなんて、なんとももったいない気もしないではないが、だからこそ、今年一年頼みますよ!っとえいやっと勢いで、この目出度さてんこ盛りの熊手を買っていくのが楽しいのかもしれない。
ここは横浜だけど江戸っ子の粋ってもんでしょうか。
今回、残念ながら丁々発止のやりとりまでは見られなかったけれど、それも、丁々発止のやりとりのなかでまけさせた分は、結局御祝儀として熊手屋さんに渡してしまうのが「粋」なのだという。
いいですねえ。
来年は私も・・丁々発止を・・。いや、鰻の寝床の我が家、置くところがない・・。
闇夜に浮かぶ熊手屋が美しい。
みなさまも、来年の酉の市でマイファースト熊手、いかがでしょう。
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