相模湖でワカサギ釣り その1 [季節を遊ぼう!ゆる釣り部]
みなさん、釣りは好きですか? 釣りっていうと、いろいろな道具を揃えたり、仕掛け作りが難しかったりと、ちょっと面倒臭い遊びだと思われるかもしれない。実は私もそう思う。一匹でも多く釣るための張りつめた緊張感とかも大の苦手だ。 |
text by 玉置 豊
ゆるいワカサギ釣りはボートが一番
「ワカサギを釣りにいくんですよ。」
釣りにそれほど詳しくない友人にこういうと、10人中9人が氷の張った湖にドリルを開ける動作をしながら、「氷の上って寒くない?」と聞いてくる。確かにワカサギといえば凍結した湖に穴を開けてやる穴釣りが有名なのだが、どう考えてもあれは寒そうである。いや、最近は防寒着とかが発達してそう寒くもないのかな。でもやっぱり、穴釣りには「氷が割れて湖に落ちるのでは」という、交通事故にあうよりも低いと思われる確率の心配がぬぐいきれない。小心者ですから。
でも大丈夫。最近はいろいろな場所でワカサギの放流が盛んにおこなわれるようになって、関東の氷が張らないような湖でも十分楽しめるんだよね。なので私にとってのワカサギ釣りは、湖にボートを浮かべてのゆるーい釣りなのだ。
ということで、今日は東京から中央自動車道ですぐの距離にある相模湖にやってきた。狙うはもちろんブラックバス、ではなくてワカサギだ。
中央フリーウェイ♪
相模湖到着
ワカサギのボート釣りっていうと千葉方面にしかいったことなかったので相模湖は初めてきたのだけれど、思っていたより全然近かった。まあそれは私が相模湖を富士山の近くだと思っていたからか。それにしても今日のゲストである坂さん(別名が日本一半ズボンが似合うカメラマンなのだが、さすがに今の時期は長ズボン)の家から車に乗ってほんの一瞬で到着だ。私が車に乗って一瞬で寝てしまったからだけどね。本当は三鷹方面からで約一時間。
今日は天気が最高、紅葉も綺麗。平日にうっかり仕事を休んで釣りにきてしまったことに対して後悔無しのお日柄である。たまにはこんな日もないとね。
本日お世話になるのは、坂さんいきつけの「日相園」というボート屋さん。ここはエンジン付きボートが充実していて、ワカサギよりもブラックバス狙いがメインだったりするのだが、坂さん曰く、「ポイントを動いて探す攻めのワカサギ釣り」をするにはここがオススメなのだそうだ。
日相園。かっこいいコテージもあるよ。
桟橋を見るとテンションが上がります。
ちなみに普通にボートでワカサギを釣るのなら、相模湖には手漕ぎボートの曳舟(ボートをポイントまでエンジン船で引っ張っていってくれる制度)をしている店があるらしいので、そっちのボート屋さんがオススメです。
今日のボート紹介
ここで借りられるレンタルボートには大きく分けて3種類ある。1つ目は人力で進む手漕ぎボート。2つ目は3メートル未満で、2馬力未満のエレキと呼ばれる電気式エンジンがついたボート。これは船舶免許不要。そして3つ目が我々が乗り込むアルミボートで、後ろに10馬力のエンジン、さらに前にはエレキがついているゴージャス設計。これに乗るにはもちろん小型船舶免許。
ダブル動力。いままで人力で進む手漕ぎボートでしかワカサギをやったことがないので、今回はとても贅沢な気分である。
明らかにワカサギ用ではないボートを借りてみました。
魚群探知機登場
今シーズン初のワカサギ釣りにウキウキしながらボートに乗る準備をしていると、坂さんがなにやら口笛を吹きながら電気工作をはじめた。一体なんのおまじないだろう。
なにかをネジで固定しているようだ。
エレキのプロペラに細工中。
プロペラにビニールテープで固定されるブラックボックス。
カーナビ?
セッティングをしながら坂さんは告白した。
ものすごいニコニコしながら。
「昨日、中古釣具屋でうっかり魚探買っちゃったんだー。しかもカラー。」
おお、魚群探知機。そんなものをうっかり買ってしまった人を初めてみたよ。しかもワカサギ釣りのために。さっきプロペラにつけていたのは魚探の送受波器で、昨日急に買ったので送受波器をボートにつけるための部品まで間に合わなかったそうだ。
ちなみにコレを買ったのは奥さんに内緒らしいので、このページを見ている坂さんの知人の方々は内緒にしておいてね!約束だよ!
マイ魚探を積んで出船!
魚群探知機のセッティングが終わったらさあ大海原、ではなくて湖に出船だ。このボートはスピードがビューンとでるエンジンと、のんびり進めるエレキがついているので、出船や細かいポイントの移動はエレキを使い、大幅な移動はエンジンを使うのだそうだ。実はスモールパッケージホールドなどの小技も得意な大型レスラーみたいで大変頼もしいボートである。
ビューンとエンジンで移動。
エンジンを使うときは、エレキのプロペラは船の上。
平日で人気のない湖を気持ちよく進んでいると、湖上に唐突なビニールハウスが出現。これは冬場にトマトやスイカを育てるための施設でも、スッポンやウナギを養殖するための施設でもなく、「ドーム船」という大型船で、この中でワカサギ釣りができるようになっている。これなら真冬の雪の日でもなかなか快適そうである。財布に余裕があればぜひ一艘欲しいところである。
野菜は育てていませんよ。
ドーム船を横切ってさらにしばらく進むと、今度は手漕ぎボートの船団が登場。坂さんの話によると近くのボート屋がここに曳舟してきたのだそうで、ということはここが釣れるポイントなのではと思うのだが、こちらはせっかくのエンジン船、手漕ぎボートと同じ場所でやるのもねえということで素通り。
アンカーリングされた手漕ぎボートの船団。
どうやら坂さんは「俺だけのポイント」でワカサギを釣り上げたいらしい。気持ちはわかるぜ。せっかく魚探買ったんだしね!
ポイント到着
しばらく走ったあと、坂さんは「この辺はシャローでサーフェスにベイトがスクールでバイトしているからボトムがナンタラカンタラ」となんだかルー大柴みたいなセリフをつぶやいてエンジンを停止。バス釣り用語らしいのだが私にはチンプンカンプン。
エンジンからエレキに切り替え、魚探とニラメッコをしながらゆっくりと探っていると、ピコーンピコーンとカラータイマーみたいな音が鳴りだした。なんだなんだ、もう釣り終了の時間かと焦ったら、これは魚探に魚が反応したことを示すアラームだった。なるほど、液晶モニタに魚の影が映っている。
お、海底付近に魚の影。
この影がワカサギだと信じて、とりあえずここで釣りを開始することにした。そしてアンカー(錨)を積んでくるのを忘れたことに気が付いた。あわあわ。ブラックバスのように常に移動しながら魚を探す釣りならアンカーは使わないけれど、ワカサギのように寄せながら釣る場合はアンカー入れてボートを固定したほうがいいんだよね。
でもボート屋まで戻るのが面倒なので続行だ。この魚探の反応を前にしてそんな悠長なことをしていられるほど我々は我慢強くないのだ。
仕掛けの説明
ここでボートでのワカサギ釣り仕掛けをちょっと説明。とはいっても全然難しいことはなく、私の流儀では1メートルくらいの細い竿にリールをつけて、糸の先に市販の仕掛けとオモリをつけるだけ。私の竿は友人からもらった昭和の香りがプンプンする赤いワカサギ用竿と、どこでも一緒の阪神竿だ。
あ、前にいったボートハゼ釣りとまるっきり一緒の組み合わせだな。
今日はハゼじゃなくてワカサギを釣るのだ。
このリールは今日のために買ったワカサギ専用。
仕掛けは一番安かったというシンプルな理由で購入した7本針、エサは赤虫と紅サシを用意した。ちなみにこのエサ、赤虫が蚊の幼虫で、紅サシがハエの幼虫だったりする。なかなかすごい組み合わせだ。
仕掛けは結構絡むので、竿一本で3セットくらい必要。
左が赤虫、右が紅サシ。
釣りスタート
今日の目標はどーんと100匹。まあワカサギ釣りで100匹って大した目標じゃないんだけれどね。まずは一本目の竿の7つの針すべてに赤虫をつけて釣りスタート。ワカサギ釣りはハゼのように仕掛けを投げるのではなくて、船縁から真下に仕掛けを落とし込むやり方で、オモリが底に付いたら魚探の反応を見ながら水深を調整していく。
続けて二本目の竿のエサを準備していると、バスロットにスピニングリールというパッと見はバスフィッシャーにしかみえない坂さん(元バスプロらしい)から、「きたきたきた!」といういつもより半オクターブ高い声が聞こえてきた。これが魚探の効果か、一投目からさっそく小さいながらもワカサギを釣り上げた。
ブラックバス釣り風だがワカサギ釣りだよ。
ちっこい。けど先に釣られて悔しい。
キャーキャーいいながらパシャパシャと坂さんの勇姿をカメラに納めていると、置いておいた私の竿先がピクピクと動いた。ヨッシャヨッシャとニヤニヤしながらリールをグルグルと巻いていくと、これまた小さなピチピチのワカサギだ。どうでもいいけれどこの文節、擬音が多いな。
こういう写真をとっているとよくバラすよね。
うーん、煮干しサイズ。でもうれしい。
ちょっとサイズは小さいけれど嬉しい今シーズン初のワカサギだ。この調子なら100匹なんてすぐだね。どうしよう、1000匹とか釣っても食べきれないよー。なーんて妄想を膨らましていたのだが心配無用、2、3匹釣ったところですぐに釣れなくなってしまった。どうやら今日はお天気が良すぎて水温がいつもより上がってしまい、ワカサギの群れの動きが速いみたい。
これが手漕ぎボートだったら、同じ場所でしばらく続けてワカサギが寄ってくるのを待つところだが、こっちはエンジン付き。この場所にさっさと見切りをつけて新しい場所へと旅立つことにした。というか、アンカーがないので同じ場所でワカサギが寄るのを待つという釣りができないのだ。
なんだか今日はせわしないワカサギ釣りになりそうである。まあそれはそれでおもしろいけれどね。
つづく
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