クライマックスはそば打ちで [とろろそばが出来るまで]

そばの収穫から2週間。いよいよ最後のイベント、そば打ちのお知らせがやってきました。失敗することなく、そばを打てるのでしょうか?10月から参加したそばのオーナー制度のイベントもこれで最後です。

text by 小川 恭

最後の腕のみせどころ

前回のそば打ちからあっという間に2週間が経ち、甘楽町役場からまた一通のお知らせが届いた。
中を見ると、こんなタイトルのお手紙が。


最後の腕の見せどころ

そう、ついにそばのオーナー制度メインイベント、そば打ちの日を迎えたのである。
これでずっと参加してきた(といっても10月からの途中参加ではあるが)蕎麦の里のイベントにひと区切り付いてしまうのかと思うと、少し寂しい。

しかし、それ以上にこの手で収穫したそばが味わえることが嬉しい。
まぁその前に・・・ちゃんと美味しく食べられるそばが出来るであろうか?

いざ出陣

今回のイベントは、地元の「そば打ち名人」のお母さん方が手取り足取りそば打ちを教えてくれる、というもの。これまでのお花見や収穫とは違い、参加者77組が一同に会してしまうと大変なことになってしまうので、1時間ごとに班編制で行われる。私たちは午後からの組に加えていただいた。

同行の友人3人と共に、いざ出陣である。

もうすっかり慣れた道のりを、車を飛ばして進む。空は快晴。たった2週間しか経っていないのに山々は一層赤く色づき、美しい。

2時間ほどで、現地に到着した。

そば打ちは、「ちぃじがき蕎麦の里」のふもとのおそば屋さん「那須庵」に併設する「打ってんべえ家」で行われる。


この看板からすぐのところにある

そば打ちのためだけにある場所


ここは土日だけ営業しているおそば屋さんだ(※団体の予約があれば平日でも営業することあり)。
今日の先生でもあるそば打ち名人のお母さん方が切り盛りしているお店なのだ。お店でそばを提供するとともに、そば打ち体験もこの「打ってんべえ家」で行っている。

予定時刻より10分ほど遅れてしまい、あわてて受付を済ませ、中に入ると20人ほどがひしめきあってそばを打っていた。

追いつくためにも、すぐさま手を洗って持参したエプロンを身につけ、支度をする。

すっかり準備の整った自分たちの席につくと、お母さん方からてきぱきと指示が飛ぶ。
では、その作り方を追っていこう。

レッツそば打ち

材料:そば粉・200g、小麦粉・100g、熱湯・125cc、水・35cc、塩・ひとつまみ

1:こね鉢にそば粉を入れたところに塩をひとつまみ振り入れ、熱湯を注いで平均に湿るように手早く箸でかき混ぜる


熱湯を入れたら

急いで混ぜる!


2:熱が少し冷めたら手でバラバラになるようによくもみ、水分が全体に行き渡るようにする。


ダマが大きくなるとダメ

3:小麦粉を入れてそば粉と均一になるように混ぜる。混ざったら水を加えてさらによく混ぜる。


必死

ポロポロしてまとまるまでが大変


4:全体を玉にまとめよくこねる。表面が滑らかになってから更に50~100回こねる。


全身を使ってこねまくる

5:こねあがったら丸くまとめ、のし板に打ち粉を振り、麺棒で厚さ2~3mmまで伸ばす


つるりと綺麗に丸めるのは難しい。名人技炸裂

生地の真ん中を厚めに残して手で伸ばす




ある程度平たくなったら麺棒で

麺棒に巻き付けて、引くときに力を入れると上手く伸ばせる


6:打ち粉を振って折りたたみ、約2mmの幅に切る


屏風(びょうぶ)畳み

大きく重たい麺切り包丁で慎重に


ここまでが、このそば打ちで私たちが行う作業の全てである。
そばを切り終わったら、那須庵の方に運ばれ、茹で上げて試食させてくれる。

1の行程のときがやはり一番重要なのか、熱湯を入れたら周りの名人たちに「早く!」「早く混ぜて!」「思いっきり混ぜて!」と口々に言われた。

あわあわしながらガムシャラに混ぜると、そば粉は水を含んで細かいそぼろのような状態になる。

そば粉は粘りけが少なく、まとめるのが難しいという。確かにポロポロとこぼれやすいのだが、少し多めのつなぎ(よくいわれるそば粉8:小麦粉2の二八そばよりもう少し小麦粉が多い)のせいもあってか、ぐいぐいとこねるうちによくまとまった。

初めての割には上手い方だと褒められたが、名人の技を見ると全然違うなーと感心してしまう。


感心しすぎて口が開いている

もっといろいろ難しいのかと思っていたが、実際は驚くほどテンポ良く、ちゃっちゃと進んでもう出来上がりだ。

さぁ、それでは実食です!

オリジナルそば

名人たちにお礼を言って那須庵に移る。席についてすぐくらいに、茹で上がったそばが運ばれてきた。


じゃーん


ちゃんとそばだよ!

まず、そばつゆを付けずにひとくち。

・・・美味しい!!!

コシが強く、噛みしめるとそばの香りがしっかりとし、ほんのり甘い。
さすがついこの間収穫した新そばである。こんなにそばの香りがちゃんとするそばは初めて食べた。このままつゆなしでもどんどん食べられる。

とはいえやはりそばつゆバージョンも食べたくなって、こちらもずずっと。
うまーい!ちゃんとそばだ!しかも極上のそばだ!

閉会式です

感動しながらそばを食べていると、前で閉会式が始まった。

役場の方の挨拶の後、表彰式へ。
第1回の種まきから、皆勤で参加された方は「そば打ち名人」の称号が授与される。リピーターの多いこのイベントならではで、初参加の方は「仮名人」、二回目の方は「本名人」・・・と段々レベルが上がっていく。4年目を超えると「大名人」となるそうだ。そこまで行けば、もうそば屋だって開業できてしまうんじゃなかろうか。


表彰式

私は途中からだったので、もらうことは出来なかった。

でもこんな美味しいそばが出来るのなら、あの称号がほしい。
名乗ったって罰は当たらないと思うほどだ。

10月から12月までの短い間だったが、楽しかった。
まずは「仮名人」を目指して、来年も来ちゃおうかな。

今日でお別れの名札を見ながら、そう思った。


ありがとう蕎麦の里


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