東京よさこいってどんななの [あらゆる祭りを楽しもう!]
高知に起源をもちつつ、各地で開かれる「よさこい祭」。嘗て北海道でYOSAKOIソーラン祭りに打ち込む友人を見て私は「よさこいって、北海道のもの?」と馬鹿なことを聞いて呆れられたことがある。 |
text by 和田 朗
東京よさこいってどんななの
電車を乗り継いで池袋へ。
メイン会場が池袋西口だというので、地下街からよっこらせと上がっていくと。
あ、すごい人だ
駅前のロータリーに組まれた舞台と、審査員席。思ったより大がかりかもしれない。実はわたくし、あまりの各地でのよさこいの多さに「けっこう小規模なんでないの?」と思っていたのだが、そんなことは少なくともここ池袋では無いらしい。
ふくろ祭り
実は「東京よさこい」は今年で8回目、今年40回目となる「ふくろ祭り」に付随する形で行われている。元々ふくろ祭りで披露されていた「やっさ踊り」を担っていた人々の高齢化を補うため、若者が中心となって引き立てていけるよさこいを池袋に持ち込み、祭りの活気を呼び戻そうとして「東京よさこい」は生まれたらしい。
祭りとしては、ふくろ祭りで行っていた「やっさ踊り」や神輿の巡業と、「東京よさこい」として、全国各地から来た100チームにも及ぶ団体の踊りが数日間に渡って披露されるという盛り沢山さ。
ちょうど我々が来たこの日は、東京よさこいの前夜祭ともいうべき日であったのだ。
早速、よさこいを鑑賞
かなりな人混み。
鑑賞する人々が列を成しているので、チビスケの私、前が見えない。ここまで来てよさこいが見れない~~と焦っていたら、私の前の人がひょいひょいとタイミングよく帰ってしまった。期せずして棚からぼた餅式特等席だ。
私の到着と同時に始まったのは20代のメンバーだけで構成されたというチーム。若いだけあって勢いがすごい。跳んで回って衣装も派手派手しく、華のあるチーム。
特に最前列でチームを引っ張る若者が、腕に覚え有りと見えてその飛びっぷり跳ねっぷり回りっぷりたるや、人目を惹きつけて離さない。逆立ち状態でぴょんぴょん跳び回る時には、しばらく口を開けたまま見とれてしまった。
ほーお、こういうものなんですか。
それにしても歌がやけに生々しいなと思ったら
ステージ上で生歌
おおー、お兄さん歌っとる!
よさこいの踊りというのは開始当時はよさこい節にのせて踊る盆踊りスタイルだったらしいのだが、そのあと楽曲のアレンジが許可されたらしい。
よさこい節とは、「土佐の高知の はりまや橋で 坊さん かんざし 買うを見た ヨサコイ ヨサコイ♪」というアレである。
そういった訳で、ベースはよさこい節であっても、グループ毎に曲が違うし、歌もアレンジされている。一つ一つ歌もライブの迫力感。
曲調が違うから、ダンスがそりゃーもう全然違う。この初めて見たよさこいチームは力強く華やかな中にも祭りのパレード的な色が見えたのだが、この後続くチームによっては、創作ダンス的なものも数多く見られた。なるほど、これは自由な祭りだ。
一同、礼!
様々な年齢、結びつき、趣の団体がいるわけだが、年少者で作っているチームは他とは違う人気がある。年長者に従い、ぴしっと礼!頑張って踊って笑顔絶やさず、踊りきると「きゃーーーっ」と言って喜び合う。部活的で健全だ。
このチームも高校生一人、中学生一人で、あとは小学生とか言っていたか。懸命に踊る姿にお母さんもお父さんも胸を熱くする。振りがワンテンポ遅れてしまう子がたまさか出るのすら微笑ましい。
旗手
旗はどこのチームでも見られる訳ではないが、旗手がいると盛り上がり方も上り調子に。旗の大きさもチーム毎に違うけれど、こちらはかなり大きい旗。これだけの旗だと振り回すことはおろか、持ち上げ支えるだけでも一仕事だ。絶えず旗を翻らせるための運動量たるや。
その傍らでは少年旗手
10代で作られたチームなので、傍らで少年旗手も旗を翻す。旗は一度置いてしまうと、そのあまりの重量に再度持ち上げるのが一苦労。少年よ!耐えて翻し続けろ!
こうやってみていると、踊りの面白さもさながらだけど、祭りを盛り上げるため、滞りなく薦めるための裏方の努力もすごい。
素晴らしいです。縁の下の力持ち
なぜか出来てしまった水たまりを掃いて。後のチームのための心配り。
あ、気が付けば少年の旗が降りている。
前述とはチームですが、こうやって荷物を持った裏方(保護者)が続くことも
10月とは思えない太陽の陽射しの中、演舞は続く。
のわー暑いなー。晴天だ。
かなり自由でバリエーション豊かなよさこいではあるが、本場高知では基本ルールというものがあるらしい。
その中で、「鳴子を持って前進する踊りでなければならない」という下りがある。踊り手が皆、手にカスタネットのようなものを持って、それをちゃきちゃきと軽快に鳴らしながら踊るのがこのよさこいのポイント。
腕を振り上げたり、掲げたりしながら、ちゃきちゃきと鳴らす様がなかなかいなせで格好良い。
これが鳴子
チーム毎に、衣装に合わせた色とりどりの鳴子を持ち、上でかちゃかちゃ、下でちゃきちゃき。格好いいなあ。粋だなあ。
といいつつ、息抜きがてら本日の私の一押しショット。
手持ち無沙汰
こちらも先程とは別の子供主体のグループ。旗手は男の子2人だったのだが、片方が旗を振っているとき、明らかに何をして良いのかわからないもう一人。大人なら器用に立ち振る舞うところ、そうできない不器用さがたまらない。
とにかく、次から次へと全国各地からのチームが踊り続けるので、いくらでも見続けていられる。見れば見るほどバリエーションが豊富なのだ。すごい、最早「踊り」の祭典だ。
好みはいろいろあるだろうし、何が正しい、ということを決めないからこそのアレンジの豊かさではあるだろうが、私的好みでは日本の祭りらしさ、みたいなものを求めてしまうので、創作ダンス的なものより正調的なもの(といっても、本当の正調を知っている訳ではないので、所謂イメージですが)に惹かれてしまった。
私が見た中でとても格好良かったのはこちらのチーム。
高知の人達と、関東の人達の合同チームだというのだが、衣装から私の好みだった。
びしっ!と揃って
はっっ!
手に鳴子と提灯を掲げ、とるポーズとるポーズ絵になる
派手な動きは無いけれど、動きが緩急交えて決まっている
はあああああ、格好いい。惚れ惚れする。思わず私もよさこいに来年から参加しようかと思ってしまったくらいだ。
晴天の下暑い暑いと言いながら、数時間も様々な団体を見続けたのだが、「今度はどんな団体だろう、どんな踊りだろう。」と思うと、なかなか列を離れることが出来なかった。
そうか、これが魅力か。自由に自分たちの好きなように表現できる祭り。だから、皆が「私ならこうやりたい、こういう踊りをやりたい」と思い、チームが増え、踊る場を求め、そして各地でよさこい祭りが増えていく。
なんとなくそんなことを感じて、日に灼けたおでこをてからせながら、若干足取り軽やかに、この場を後にしたのだった。本場のよさこい、いつか見れるかなあ。
決め!
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