5年に1度の「山北のお峯入り」を観に行く [あらゆる祭りを楽しもう!]

     

国指定重要無形民俗文化財の「山北のお峯入り」。神奈川県内最小の村(旧共和村)で伝えられてきたこの民俗芸能が5年ぶりに行われた。なんと文久3年(1863年)から17回しか公演されていないという。現在は保存会があり、5年ごとの公演をしているとはいったって、次に見ることが出来るのは5年後。ほうほうそれじゃあ早速・・・。

text by 和田 朗

我が家は新聞を2紙とっている。一方は全国一般紙、他方はわれらが神奈川新聞。毎朝その二紙を通勤で熟読している夫が「おい、山北町でなんか5年ぶりとかの行事があるらしいぞ。」と言う。なになに、それはなんなの?と今や物事を調べるのに欠かせないアイテムとなったインターネットでぽちぽちと検索すると、「山北のお峯入り」の情報が。

山北のお峯入り・・・・それは神奈川県山北町の旧共和村に伝承されている民俗芸能らしい。起源は南北朝時代にまで遡るという歴史の古いもの。

決して大きくはない山北町で総勢80名にも及ぶ演技者を揃え、行列から歌、踊りが行われるという。しかも5年に一回!オリンピックよりワールドカップより貴重じゃないか。それは是非とも観てみなくては。

山北のお峯入りは、午前午後二回行われるという。午前は町役場の駐車場で、午後は共和高杉神明社境内にて。雰囲気からいえば、午後の共和高杉神明社境内に行きたいところだが、こちら、駅から徒歩で2時間半かかるとな。もちろん駐車場などない、バスもない、交通手段は己が足だけだ。

めっそうもない。

午前の部を心して拝見させていただきます・・・。

 
立派なバスに揺られて

山北町までは、車で。開演時間より1時間以上早く出向いたので、町が設定してくれた無料駐車場に難なく停めることが出来た。こちらから、駅まで無料の循環バスが出ている。

 
お峯入りのパンフレット

駅前には立派な観光案内所があり、そちらでパンフをいただく。国指定重要無形民俗文化財・・。一瞬どこで区切っていいのかわからないくらいだ。

山北の駅から、目的の町役場は徒歩で数分ほど。電車で来る観客も多く、1時間に2本の電車が着くと、どっと人々が吐き出されてくる。明らかに普段の乗客率の倍以上だ。さすが5年に一度の威力。

 
駅前。まだ、早い時間なので、人出はまあまあ

駅前は商店が立ち並ぶが、駅をまたいでしまえば、そこは長閑な住宅街。高い建物がない。空が広い。秋の空気だ。

 
ふと気になるホームの上の石柱

駅舎からしばらく歩くと、ここにも無人の改札があった。地元の人は平然とこの門をくぐり、ホームへと上がっていく。定期券とか回数券を持っている人なのか。私は無人駅というものは旅先で数回経験したきりなのでシステムがよくわからないが、信頼の上になりたっているといつも思う。こういうのは小さな町の良さだ。


恐らく「ご自由にお使いください」な傘が沢山。

そういえば、山の上に住んでいたうちの祖母の家のあたりのバス停がこんな感じだった。屋根付き、椅子付き、傘付き、古本付きで、ついでに話し好きのおばちゃん付きの。

ほどなくしてたどり着いた町役場には、立派な観客席が設えられていた。


コーンで囲まれているのが舞台

桟敷席と、段になった椅子席。

ちょうど観客が集まりだした頃だろうか。写真を撮ったあたりの席はけっこう埋まっているが、コの字形に作られた観客席の他2方はほとんどがら空きだ。

どこが正面になるのかわからないので、がら空きの方の階段席の最前列に腰を落ち着ける。

ちょうど演者達が正面に固まっている。あそこがエントランスとすると・・・・ちょうど裏っかわになるのか。


入口付近に固まっている演者達

1時間以上も前だというのに、演者達は揃って入口付近に固まっている。控え室というのは無いのか、それとも皆、これから始まる5年ぶりの演技に心が猛っているのだろうか。

私にしてみれば「1時間以上も暇だー」と思っていたのが、思わぬ目の保養である。最近の祭り取材続きでつくづく思ったのだが、どうやら私は衣装に弱いらしい。普段とは違う特異な衣装を観ると心がはやる。出来れば私自身が着てみたいがそうはいかないので、ちょろちょろと演者達の周りをうろつき回っては暇な待ち時間を潰すことに吝かではない。


天狗様!刀が!


笛の練習に余念なし


こちら、こっそり隠れて棒回しの練習

楽しい。

楽屋か舞台裏を覗いているような気分だ。
それにしてもなんだろう、見ていてちょっとほっとする気分は。・・・そう、なんだか素人っぽいのだ。たどたどしいのだ。

お峯入りは町民が行う。しかも毎年行われるわけではない、5年毎だ。一年前から練習しているとはいえ、演技者達は、普段は全く違う仕事をもつ、演舞や楽器の素人なのだ。素人っぽいのは当然だ。ある意味、素人なんだから。サラリーマンかもしれぬ、学校の先生かもしれぬ、その人達が一生懸命に練習した成果のお披露目の日なのだ。ああーそれだそれだ。なんかこう落ち着かない演者の気持ちがあちこちに溢れているのが親しみ易いというか心地よいというか。
これが本当の村の祭りってものなのかも。


舞台全景

時間も迫ってきた。神輿の準備も万端だ。


私の朝ご飯。豚汁

敷地内で売られていた豚汁で腹ごしらえをして、私の方も準備万端だ。

次回、お峯入りの全貌に迫ります。乞うご期待。


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