ボートでアジ釣りのはずがタチウオ釣り その2 [季節を遊ぼう!ゆる釣り部]

みなさん、釣りは好きですか? 釣りっていうと、いろいろな道具を揃えたり、仕掛け作りが難しかったりと、ちょっと面倒臭い遊びだと思われるかもしれない。実は私もそう思う。一匹でも多く釣るための張りつめた緊張感とかも大の苦手だ。
でも釣りっていうのは、それこそ魚の種類以上に釣り方があり、その中には気を張らないでできる“ゆるい釣り”もたくさんあるのだ。このコラムでは、そんな季節ごとのゆるい釣りとその周辺模様を紹介していきたいと思う。

text by 玉置 豊

最初に釣れたのは…

はい、前回からの続きです。

大津君(仮名)の電動リールがウィーンウィーンと少年合唱団のような軽快なモーター音を上げながら軽々と巻き上げた本日初の獲物は、季節はずれのホッソリとしたサンマ、かと思ったらサンマサイズのタチウオだった。ちいせー。いや、釣れただけ羨ましいんだけどね。


思いっきり魚を前に突き出して撮影してもこのサイズ。

大津君は写真を撮影後、「これじゃ食うとこない!」といって、せっかく釣ったタチウオをさっさとリリースしてしまった。ぜいたくな人だ。

私には釣れない

大津君に釣れたんだから、きっと次は隣に座る私の番。と信じて、慣れない電動リールでがんばるのだが、寒さで手がかじかんでしまってぜんぜんアタリがわからない。お気楽なボート釣りだと思って長靴じゃなくて登山靴を履いてきたのも悪かった。なんで登山靴で船のっているんだ俺。

靴からジットリと染み込んできた水が、目から涙、鼻から鼻水となって流れて落ちていく。


いくら防寒しても寒いものは寒い。

足が冷たいよー。


そんな私の悲しみをよそに、大津君は順調に二匹目のタチウオを釣っている。やっぱりサンマサイズなのでリリースしているけれど。「リリースするなら俺にくれ!」と、「家なき子」ならぬ「釣れない子」としてはいいたいのだが、それはプライドが許さない。でもあと30分釣れなかったらいっちゃいそう。

これだけ釣れないのは日頃の行いが悪いからなのかなー、それで私の真下にだけ魚が一匹もいないのかなーとブツブツいいながら仕掛けを巻き上げてみると、エサをガブリと囓られた跡が残されていた。魚はいる。悪いのは日頃の行いではなくて、釣りの腕か…。そうだ、日頃の行いは悪くない!


「こんなのリリースだー」

「とほほ…」という言葉が口からでた。


やっぱりボートが無理だった時点で家に帰ればよかったよ。


用意したバケツが虚しい。

ようやく釣れた!

ぜんっぜん釣れないから(自分だけ!)もう帰ろうかと思っても、自分の意志だけでは帰れないのが乗合船。これが連帯責任という奴か。いやちょっと違う気がする。まあ本当は「釣れないから帰ろう!」というよりも、「釣れるまで帰らない!」という考え方なんだけどね。

一匹でも釣らなければなんのためにここまで来たのかわからない。電動リールのおかげでどうにか集中力を保って竿を握っていると、ようやくグッググっと水面下80メートルからのアタリがしっかりと伝わってきた。竿をグッと上げてフッキングさせ、電動リールのスイッチを入れてゆっくりゆっくりと巻き上げていく。


うん、やっぱり釣りにきてよかった。

電動リールを使った釣りって魚の引きが味わえないからおもしろくないのではと思っていたんだけれど、リールを自分で巻かないだけで、引き自体はちゃんと竿に伝わってくるのね。ある程度重い仕掛けに深い水深の釣りだと、引きだけに集中できる分、手巻きより魚の反応がわかっておもしろいかも。っていうほど今掛かっているやつは引きが強くないんだけどね。

リアクションがあったのは掛かった一瞬だけで、あとは「なんとなく重いなー」という感じだったけれど、とりあえず無事一匹目のタチウオをゲット。もちろんサンマサイズだぜ。


サンマサイズ…。でもうれしいのだ。

タチウオって横に指を添えて「指○本分」というふうにサイズを表すんだけれど、狙っていたサイズは「指4本分」。このサイズだと身も厚く脂が乗っていてとてもウマイのだが、私がようやく釣ったのは「指2本分」。実の厚さといい幅といい、派手なベルトかこれは。ベルトにしても俺の腹には長さが足りないよ!


歯が鋭いのだ。針をはずすときに流血する人が結構いるよ。

指2本分かよ。


こんなサイズじゃ腹の足しにもならないなあってブツブツと文句をいいながらクーラーボックスにキープ。

順調に釣れる外道達

サンマサイズのタチウオだけれど、とりあえず一匹釣れてホッとしていると、大津君がニコニコしながら今釣れたばかりの魚を突き出してきた。

30センチオーバーのデップリとしたアジ…。


ガーン。

なんでサバをエサにアジが釣れるかな。私が釣ったやせっぽちのタチウオに比べて見るからに脂が乗ってうまそうだなコンチクショウ。

さらにしばらくすると「底付近でなんか釣れたー」とのうかれた声が。今度はなんとボートで釣るはずだったイシモチが…。


ガガガーン。

ラストチャンス到来!

ニコニコしながら「今日ボートで釣るはずだったアジとイシモチ釣っちゃったよ!」と語りかけてくる大津君を無視しながら、雨にも負けず(降っていないけど)、風にも負けず(吹いていないけど)、魚が掛からずリールも巻けず(これがいいたかった)、それでも歯を食いしばってがんばっていると、私にも本日2度目のアタリが。アジかイシモチか、どっちでもいいから釣れてくれーとリールを巻くと、上がってきたのは残念ながら外道のタチウオだった。

いや違う、この船はタチウオが本命だった。

おお、2匹目の本命。サイズもどうにか一回りアップしたし、よしこれから!、というところなのだが、残念ながらここでタイムアップ。沖上がりの時間となってしまった。このタチウオ船は午前中だけの釣りなので、釣りをしている時間が短いんだよね。


とりあえず本命2匹目ゲット。

ちっくしょう、あと30分あったらアジでもイシモチでも指4本分のタチウオでも釣ってやったのに。と強がっておこう。


終~了~。

本日の釣果

電車で大津港から手漕ぎボートに乗ってアジやイシモチを釣ってウハウハのはずが風のためにタチウオ乗合船で人生初の電動リールをを体験することとなった本日の釣りですが、釣果は小型のタチウオ2匹だった。


大きなクーラーボックスが虚しい。

タチウオは太刀魚と書くのでとりあえずチャンバラ。


海から陸に戻ると風はすっかりやんでいて、いつのまにやらボート日和になっていた。微妙。


ああ、ボート乗ればよかったかな。

私がタチウオ2匹に対して、大津君はタチウオ2匹(両方リリース!もったいない!)と、おまけに良型のアジにイシモチ。まあ本命がタチウオなので勝負はもちろん引き分けなのだが(別に勝負はしていないのだが)、外道のアジとイシモチがずるい。ずるいったらずるい。

ということで、同じ船で午後出航するアジの乗合船に乗ることに急遽決定!

大津君の「え、俺はもう夕飯のオカズを充分釣ったのに…」という意見なんか聞こえないったら聞こえない。

さあさあ楽しいアジ釣りだ。

つづく


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