ラオス・フェスティバルで遊ぶ その3 [あらゆる祭りを楽しもう!]

     

最近、世界各国を紹介するイベントが頻繁に行われている。5月に行われる大規模イベント「タイ・フェスティバル」、もう10年以上の歴史を持つ「セント・パトリックス・デイ・パレード」、ビールの祭典として定着した感のある「オクトーバーフェスト」などは有名だけど、なんと今年、代々木公園でラオス・フェスティバルなるものが初めて開かれるという。なんと!ラオスとな!これは行っておかないと。

text by 和田 朗

ラオスで遊ぶ その3 そろそろ美味しい匂いに誘われる

輸入食材の物色を済ませ、買い物を終えると、ステージから可愛らしい歌声が聞こえてきた。
ふとステージ上を見ると、小さな女の子が踊りながら、ラオス(?)のポップミュージックを熱唱中。

 
少女熱唱中

会期中、ラオスの有名歌手(アイドル?)も来日してショーを行ったらしいが、私のようにラオスの文化全体に深く浸透していない素人には、ラオ語(たぶん)を幼い声と調子で歌い上げる子どもが微笑ましく、よりラオスを感じられるような気がするのは気のせいか。

破裂音や摩擦音が多いラオ語の歌では、子どものおぼつかない歌い方が異様に可愛い。うーーん、正直言えば、単におぼつかないのか、そういう言語なのかもわからないけど、腕を振り上げ腰を振り振り、本人はすっかりノリノリだし、可愛いからどっちでもいいやー。

色とりどりの食材を見、漂ってくる独特な香りを感じつつ、独特なリズムのラオスの歌謡曲を聞いて、五感をその空気にゆったりと浸していると忘れていたラオスが蘇ってくるような気がする。そうそう・・タイからメコン川一つ隔てただけのラオスは首都ビエンチャンでさえ、舗装されていない道路を親鶏子鶏の一群が闊歩し、砂埃をたてながらボロボロの車が時折思い出したように走りすぎる、そんな長閑な国だった。うっかりしていると、犬に足を轢かれるんだったっけ。ああ懐かしいな、いいな、と遠い目をしながら突っ立っていたら、隣に突っ立っていた夫が同じように遠い目をしながら「ラオスは飯が旨かったんだよな。いい所だったよな。」とにんまりしている。ええ、そうですね。ステージの隣はもうラオス料理ブースが目白押しですもんね。ええ、ええ。花より団子。

それでは、飲食店ブースへと移動しましょう。

会場の半分以上を占める飲食ブース。やはりラオスフェスでも一番集客力があるのがこちら。あれ、あの名前もこの名前も、タイ料理店として聞いたことあるなあーーと思った通り、内容的にはタイ料理店として有名な都内各地のレストランの出店が多い。タイ料理店がラオス料理も作る、といった形態かしら。ちょっと寂しい気持ちもするけれど、先にも書いた通り、ラオス料理はタイ北東部のイサーン料理と似通っているので、雰囲気は感じることが出来るはず。ポジティブに、ポジティブに。

(後日、ラオス大使館がラオス料理も出していたことを知りました。事前の予習不足が否めない。駄目ですね、残念無念。)

その場で火を使って煮炊きしているブースが多いので、あちらこちらでいい匂いが漂っている。その香ばしい香りだけでビールが飲めそうな感じですよ。


鶏肉焼きのガイヤーンが魅惑的に誘う

いきなり鶏焼きです。タレに漬け込んだ鶏肉を炭火で焼く。(ラオスではピン・カイという呼び名ですが、まあそれはそれとして・・)
ラオスで思い出す光景といえば、あちらこちらの家で飼われていた鶏たち。家で飼われていると言っても、鶏小屋のようなものに飼われている訳ではなく、言うなれば放し飼い。我が物顔で往来を横断し、あちら此方好き勝手に動き回った日本のブロイラーよりかなり小型のそれは、見た目だけでも既に原種に近いであろう容貌で、実際食べてみても肉質がぎゅっと詰まっていて味が濃い。地鶏ですよ、ラオス地鶏。

このむちむちと締まった肉質の鶏をスパイスに漬け込んで炭火で焼いたものは、簡単なのに嬉しくて笑いが止まらなくなってしまうくらい美味しい。しかもあちらだと踊りだしたくなるくらい安い。笑ったり踊ったり俄に忙しくなってしまうラオスのご自慢料理だ。

タレに漬け込んだために濃い焦げ目が付いていて旨そうー。


料理名がタイだけど、まあそれはそれとして。

こういうときは見た目も大事。ただ料理が並べてあるだけでなく、あちらの特産物「錫」を使った器に入れたり、竹の籠や足つきの高坏に盛り上げたりしてあると、気分がぐっとアジアに。

薄暗い曇天もあちらの亜熱帯な空気に似せてあるかのように思えてしまう、すごい演出力・・・じゃなくて私の思いこみ根性。


出ました。フランスパンサンドの「カオチー」

フランスの保護下になったラオスはフランスパンが大変美味しい。ベトナムでもこのフランスパンサンド(バインミー)は有名だが、ラオスでも町中のあちこちにカオチー屋が店を出している。

かりっと軽めのフランスパンに、豚のペースト(レバーペーストみたいなもの)と、生野菜、甘酢に漬け込んだ大根とにんじんの漬け物をたっぷり挟んだもの。

この濃厚なレバーペーストと甘酸っぱいなますの組み合わせがいかにも西洋とアジアの融合といった感じなのだが、どちらも絶対はずせないほどの好相性。

現地では、ショーケースに山盛りになったフランスパンを、オーダーしてから見事な手際でさっさと具を入れて作ってくれる。パンもさくさくふわふわで・・いくらでも食べられると錯覚するほどの旨さだ。そして、これに合わせてカフェラオと呼ばれる練乳入りの濃くて甘いコーヒーを飲むのだ
。あちらで朝ご飯といえば、屋台で食べるカオチーだったが、私はあまりに気に入ってしまって、今日帰るという日の昼ご飯用に一人でテイクアウトし、友人達がぽかんと見守るその目の前で搭乗を待ちながらもしゃもしゃ食べたという記憶がある。

物欲しげにカオチーを眺めていたら、店の人が「美味しいフランスパン使ってますよ。」という。「(ラオス風を謳うなら)それは大事ですね。」と答えると、今度はにっこり笑って「向こうはフランスパンが美味しいですからね。」・・わかっていらっしゃる。


生野菜てんこ盛り

大体、あちらではメニューを頼むと、日本のより数段太いきゅうりと、ぶつぶつとスティック状に切られたニンジン、生のインゲン、ざく切りのキャベツなどが添えられている。辛い濃い味付けが多いので、それを中和するのだ。

なので、こちらもこういった盛り付けで。実用と展示を兼ねた美しさ。


家鴨丸焼き

家鴨の丸焼きもあちこちで。やはり、こういった家禽は欠かせないんでしょう。豚やらなにやらを飼うより手間もかからず。そういえば家鴨も町を闊歩していたような・・(うろ覚え)。
ケースの下にあるのは、米麺。あちらは汁物米麺を非常によく食べるので、ああやって太いの細いの米麺がずらりと並んでいることが多い。こっちの太いのにして、細いのにして、と指さしでお願いできるので旅行者にも有り難い制度だ。ああ地味に懐かしい。


ケーキもあります

色彩鮮やかなだけでなく、なにがのっているのかよくわからないのが辛いところ。ガラスが曇ってしまって・・・。色合いが菱餅っぽい。歳をとると、華やかな甘いモノを大量に見るとおそれをなしますが、5歳くらいの可愛らしい女の子はこの色彩のかわいらしさとケーキというものの存在感にかぶりつき状態。

うーー。店を見て回っているだけでお腹がぐーぐー言っているのだが、なかなか食べるものが決められない。胃袋が牛みたいに4つくらいあればいいのに。


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