ついにとろろそばを作ってみよう2 [とろろそばが出来るまで]

column_big_thum080327.gif column_ttl080327.gif

秋からお届けしてきたこのコーナーもいよいよ最終回となりました。 畑から手がけてきたそば、ちょっとインチキしたけど正真正銘の自然薯、気持ちばかりではあるけどこだわりのそばつゆ。遂にメンバーも揃いました。
いざ、真っ正面からぶつかってみます。

text by 小川 恭

自分でも驚くほど几帳面に材料を計量し、準備万端。

P1000189.JPG
やっちゃうよ

まずそば粉に熱湯を注ぐ。ここからは時間との戦いだ。

P1000192.JPG
おりゃー

慌てて箸で全体に湯が回るようにかき混ぜる。前回よりもより早く、よりまんべんなく!箸の動きと共になんだか気持ちも焦る。急いで急いで急いで!頭の中の声が、私を急きたてるのだ。

ひとりで勝手に焦りながら、全体がそぼろ状になったところで強力粉をイン。
さらにかき混ぜながら、そば粉と強力粉を一体化させてゆく。
(焦りの)ボルテージは最高潮。そしてここで、水を加える。

P1000199.JPG
じゃばー

・・・・・・

あああっっっ!!

少なく感じたら調整できるように多めに入れていた水、全部入れてしまったのである。
焦るといいことない、っていうのは本当だ。そして勢いにのっちゃうって、恐い。

やっぱり私は真人間には到底なれそうにない。

とはいえ

P1000210.JPG
あきらめずにこねる

ちょっとやわらかく、べたつく感じはするがまとまり方は前回よりはるかにいい。
手に跳ね返ってくる感触が心地よい。

P1000213.JPG
すごくなめらかな表面

キレイにまとまってくれて嬉しくはあるのだが、蕎麦の里でやったときこんなだったか?という疑問も頭を離れない。むしろ前回のまとまらなさの方が近かった気もする。

自問自答しながらも、とりあえずのしに入る。

P1000220.JPG
基本に忠実に

丸い生地の角を出すようにのしていく。前回はぐいと麺棒をころがすだけでフチにぼろぼろとひびが入るような生地だったが、今回はスムーズに力を込めた分だけのされていく。

P1000229.JPG
短い麺棒じゃ足りなくなった

最初、家庭用の麺棒でのしていたのだが、生地が大きくなってきたので特大の麺棒登場。前回は生地が伸びなくて力をもてあましていたコイツの出番。

P1000237.JPG
こんな薄さまで伸びました

すごい。前回では考えられなかった薄さだ。

P1000239.JPG
これを屏風のようにたたんで

P1000244.JPG
切ります

生地が扱いやすいので、作業もサクサク進む。かつて、玉置さんを2時間以上待たせたとは思えないほどだ。こんなにテンポ良くすすんでいいのかしら?

よくありませんでした

生地を半分だけ麺状に切ってゆでてみると、打ち粉が足りなかったのと、やはり生地がやわらかすぎたせいかお湯の中でほぐれず固まったまま茹で上がってしまった。

P1000248.JPG
なんだこれ

ほぐれたものも途中でちぎれてしまう。生地の水分が多いとこういうことになるのか…。

残りの半分は、またあとでこね直してゆでるとして、その前にとろろの準備だ。

自然薯登場

P1000250.JPG
やっぱりすり鉢でしょ

道の駅で購入してきた自然薯を半分使用する。皮をむいて、あえてすり鉢を使ってすり下ろすことにした。なんとなく自然薯にはおろし金よりすり鉢が似合う気がする。

P1000252.JPG
いきなり折れた

そいや!と自然薯をすり鉢にこすりつけるといきなりポキンと折れた。よくしなるように見せてもろいのか…

P1000255.JPG
自然薯にてこずる

雰囲気ですり鉢を選んでしまったが、これがえらくやりづらい。まず自然薯がまったく言うことを聞かないのだ。つるつるすべって掴むことすらままならない。
でも、自然薯のぬめりは最初は全然かゆくならないのだ。むんずとわしづかみにしても全然へっちゃら。ただし、時間が経ってくると段々かゆくなってくる(しかも結構激しく)ので、なるべく早めに手を洗うことをおすすめする。

途中、自然薯を持ってすり下ろすことを諦めて、細かく刻んですり鉢に入れ、すりこぎでつぶしていく方法にチェンジ。なんとかとろろの形になってきた。

P1000258.JPG
とろろができました

P1000261.JPG
ものすごい弾力

さすが自然薯。弾力が全然違う。ふわふわのもちもちで、マシュマロのようだ。大変だったけど、すり鉢でやって正解だったかも。

ついに完成

先程の残りのそばを切り、前もって作っておいたそばつゆととろろを合わせる。 作業ですっかり暑くなり、冷たいものが食べたかったので、この間の高尾山そばツアーで行った高橋家さんの冷たいとろろそばをイメージして盛りつける。

P1000262.JPG
出来たー!

ちょっと分かりにくいかもしれないが、手前の黒いのはワカメです。

P1000263.JPG
とろろがすごい存在感

こんなに分厚いとろろが載ってるとろろそばはよそじゃ食べられないだろう。

P1000266.JPG
でもそばは短い

こんなにそばが短いとろろそばもよそじゃ食べられない…って出しちゃダメだそんなの。

味の方は、といえばとにかくとろろが美味しかった。ふわっふわでつゆとからまると最高だった。そばは水分が多いはずなのに、固かった(コシ…とはやはり違う)。でもそば粉自身が美味しいものなので、そばがきのようなつもりで食べれば美味しい。

これをとろろそばと呼んでいいものか迷うところではあるが、「とろろ」と「そば」が入ってるのだから、まあ大目に見ていただきたい。

結局最後まで完璧なものを作れなかったのは残念だが、それも当然なのかもしれない。 日常に溶け込んでいるものでも、ちゃんとイチから自分の力で作るというのは簡単な事じゃない、ってことだ。きっと。

あちこちに飛び回って、材料を揃え、1つのものを作るのはなんだか冒険ごっこをしているようで楽しかった。

拙い文章でしたが、読んでくださった皆様、それからこんな機会を与えてくださったSo-net編集部様はじめご協力いただきました皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

次にお目にかかるときは、美しいそばをご覧いただけるように、精進いたします。 ありがとうございました!!


nice!(6)  コメント(1)  トラックバック(1) 

nice! 6

コメント 1

fuku

こちらのコラムは半年ほどだったでしょうか?お疲れさまでした。住んでいる地域は全く別ですが楽しく見させて頂いておりました。

こちらのコラムは終了するということですが、私的標本のほうで拝見させて頂きます。最終回ということなのでコメントさせて頂きました。
by fuku (2008-03-27 22:09) 

トラックバック 1

横浜中華街で春節を祝う その3|- ブログトップ