年の始めは消防出初め式 [あらゆる祭りを楽しもう!]

   

出初め式、ご存じですか?1月に行われる、消防職員や消防団員による、その年初めの訓練のこと。これは大体市町村単位で公開で行われる。

慣例となったのは、1953年。遡ること凡そ300年前の1656年上野東照宮前で行ったものに由来していると言われるかなり歴史の古いものなのだ。

なるほど・・・・・では見に行ってみよう。

text by 和田 朗

年末年始の帰省から自宅へ帰ってきて、インターネットなどしていたらまさにその日その時地元の出初め式が行われることに気が付いてしまった。

毎年毎年出初め式に興味があって、行きたい行きたいと思いつつ、正月ボケと年始の慌ただしさに翻弄されているうちに行きそびれてしまうのだ。

すわ一大事!とばかりに上着を引っかけてとるものもとりあえず行ってみました、出初め式。

場所は市役所の駐車場。近付けば普段は人のほとんどいない休日であるというのに、警備員らしき人も大勢立っていてなんとなくざわざわとした雰囲気。

その中を早足で駐車場内部まで駆けていくと・・・
あああ。案の定でした。


なんか救助やってるよう

スタートダッシュが遅かったか。ネットで見た情報だと、式典が9時半からあって、演技が10時50分から・・ということで、演技には間に合うかと思ったのだが、どうやら式典が早く終わったようで私が着いた時には既に演技も半ばになっていた。

ああ、一番観たかった「消防保存会によるまとい振り込み並びにはしご乗り」は終わってしまったのか・・・。とがっくりうなだれ思わず帰ろうかと思ってしまったが、同行者がうきうきと「消防車見よう、消防車。」と私をせき立てるので、消防車を見るためにイベントの裏手に回る。


中央に高い足場が組み立てられた裏手に回る

あ、ステージの裏に、それこそずらりと今まで見たことがないくらい大量の消防車両が。今更ながら、消防車両にも様々な種類があることがよくわかる。
我々が消防車と言われて想像する通りの放水機能とはしごがついた大型のポンプ車、はしごの機能に特化した(ものによっては50mまで届くという)巨大というより、長い、としか言いようのないはしご車。
そして、可愛い~と思わず言ってしまう、狭い道路や路地などでも対応できる小型の消防車。これが数十台もずらりと並んでいるのだ。壮観である。


大きいの、小さいの、ずらり。


子供は緊急車両とか大好きですね。

言わずもがな、この辺りは子供連れのパラダイスである。実際私も友人の子供や甥っ子姪っ子で見知っているが、子供(男の子は特に)は本当に乗り物が好き。更に緊急車両となると、その特化したマシーン性だか、他にはないカラーリングだか、サイレンの音だかが心をわしづかみにするのか大好物である。特に演技そっちのけで車に群がっているのは本当に幼い子供達で、ヒーローや戦隊モノに憧れる年齢になれば楽しいであろう演技や実演など見るより、ただ車を見て、乗って、写真を撮ってもらう方が嬉しいのかもしれない。

そういえば、入口近くには子供用の銀色の消防服を借りて写真を撮影できるブースもあり、そちらも子供が、そして子供のそういった姿に相好を崩す大人達が群がっていたような・・・。

そして、これまた沢山の消防隊員の方々。出番待ちの方なのか裏方さんなのか、制服を着た方々が寒そうに肩をいからせて並んでおります。


でも皆笑顔で談笑。

始めに見たときは、訓練であるのに皆笑顔なのが、ちょっと意外な気分だったのだ。もっと堅苦しい顔をして「お役目ご苦労様です!」みたいにしているのかと思ったら、談笑交えてやけに楽しそうなんだもの。でも、ここに集っているのは職業としての消防隊員だけではないらしい。町の消防団員(要は有志主体ですね)の方も沢山。和やかな雰囲気はその辺りもあるのでしょうか。
それに、出初め式は普通の訓練とは違ってこうやって一般に公開して、消防車もずらりと並べて披露して、年の初めの恒例の行事というか、正月の縁起物というか、よし今年も頑張るぞ!の言葉は悪いが一種の「新年会」みたいなものかもしれない。

と裏を歩いている所に「消防署部隊による演技です」というアナウンスが入って、思わずイベントの見られる正面側に駆けだしてしまった。
昔ながらのまといもはしごも見れなかったけど、消防の演技やっぱり見たい!!

この消防署部隊による演技は、どうやらビル火災が起きたという設定で、高層階部分と低層階(2階くらいか)部分から逃げ遅れた人々を救出するという設定らしい。

あれよあれよという間にビルに見立てた足場から発煙筒による派手な煙がもくもくと・・。


もくもく

低層階の方は下にマットを敷き、2階から降ろしたロープを斜めに張りつめる。


マット上を斜めに横切るのがロープ

一種のショーではあるのだが、これはあくまでも迅速を求められる災害現場での救出作業の実演であるからにして、全てが同時進行であれよあれよという間に進んでいく。
低層階の救急隊の動きに気を取られていると、高層階では別の作業が行われていたりして、見る方も忙しい。特にカメラのファインダー越しに見つめている私は今まで以上に混乱をきたしている。


あっと言う間に高層階には、はしご車が


あああっと言う間に到着

早い早い。下を見たり上を見たりきょろきょろしている自分が道化に見えるほどだ。

そうこうするうちに、今度は低層階での救助が始まった。
こちらは、先程斜めに渡したロープをつたっての救助なのだ。ロープをつたって?ロープを使ってじゃないの?と思う方もいるでしょう。いえいえ、これが、まさしくロープを「つたった」救助なのである。

このロープを伝い渡ることを「ロープ渡過」というらしい。

次回は、ロープ渡過の様子から。


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