電車で相模湖のワカサギ釣りにいこう その2 [季節を遊ぼう!ゆる釣り部]

みなさん、釣りは好きですか? 釣りっていうと、いろいろな道具を揃えたり、仕掛け作りが難しかったりと、ちょっと面倒臭い遊びだと思われるかもしれない。実は私もそう思う。一匹でも多く釣るための張りつめた緊張感とかも大の苦手だ。
でも釣りっていうのは、それこそ魚の種類以上に釣り方があり、その中には気を張らないでできる“ゆるい釣り”もたくさんあるのだ。このコラムでは、そんな季節ごとのゆるい釣りとその周辺模様を紹介していきたいと思う。

text by 玉置 豊

すぐに釣れるワカサギ

まずはボート屋さんの受付で購入したコマセを湖の底よりちょっと上にセットする。ちょっと、ちょっとちょっと。と、つぶやいてからこれはおもしろいのだろうかと自問自答。その後アカムシをエサにした7本針仕掛けをオモリが底に着くか着かないかくらいでキープするのだが、釣り初心者の二人にその説明をしたら、「着くか着かないかってどっち?」と聞かれた。もっともだ。

「じゃあ底から1センチ上キープ!」と微妙な指示を出しておいて自分の釣りに集中すると、さっそく竿先がプルプルっと揺れた。きたよきたよと宣言しながらリールを巻くと、前回ここに来たときよりも一回り大きくなった気がする元気なワカサギが針に掛かっていた。記念すべき一匹目、写真を撮ろうとするとビッチンビッチンと跳ねまくる。なかなかいい背筋をしているじゃないか。


ビッチン。

ビチビチ。


この後しばらくは私だけ釣れるというとてもとても気まずい展開だったのだが、二人ともなんとなくだけどアタリの取り方や誘い方がわかってきたみたいで、すぐにボチボチと釣れだした。ワカサギ釣りってのめり込めば奥は深いけれど、初心者にもやさしいところが好き。

ミコさん(仮名)は最初の一匹を釣ると、「すごい!これが釣りなんだね!私が釣ったんだね!」とえらく感動し、サガミさん(仮名)も「うおおお!うおおおおおお!」と一匹釣れるたびにうなり声を上げている。しかし、これだけ素直に感動されるとこっちまで嬉しくなるね。最近釣りの回数が増えてきて釣れることに対する喜びがちょっと薄くなってきてしまったので、この素直さを見習いたい。初心忘れるべからずか。


釣れたことに素直に感動するミコさん。

順調に釣れるワカサギ

その後もお日柄がいいのかアンカリングしたポイントがよかったのか私の教え方がよかったのか(それはない)順調に釣れ続き、二匹、三匹、最高四匹の多点掛けがあったり、12センチもあるビッグサイズが釣れたりと、これでこそワカサギ釣り!という感じである。

お天気も最高で、風もほとんどなく、太陽が顔を出してからは近所のコンビニへ買い物しにいくような格好のミコさんでもほとんど寒さを感じることなく釣りに集中できたみたい。初めての釣りが散々だと、釣りをキライになってしまうので本当によかった。どうやら誰も凍死せずに三人揃って生きて帰れるようだ。


三匹ゲット。

この日最大の12センチ。


そして今頃になってようやく今日一緒に来る予定だった友人から、「今起きた」という日本とカリフォルニアくらいの時差を感じさせるメールが来た。ちょっと遅い。

好事魔多し

それはもう順調過ぎて、「このまま釣れすぎたら食べきれないねー」「もう食べられないよー」なんてキャピキャピと話していたときに、サガミさんの竿が大きくしなった。

大きくしなる?

ウオーウオーと大騒ぎするサガミさん。これが普通の釣りだったら思わぬ大物に大感激っていう展開なのだが、我々がやっているのはワカサギ釣り。そして相模湖はブラックバス釣りでも有名なところ。ワカサギ釣りをしているとたまにあるんだけれど、釣れたワカサギにブラックバスが食いついちゃうんだよね。


頑張れ頑張れ。

右へ左へとサバみたいに暴れ回る水面下の強敵との激闘。どちらにとっても不運にも掛かってしまった魚は結構な大物らしく、ワカサギ釣りの細仕掛けではさすがにどうにもならない。それでもサガミさんはフンガーフンガーと数十秒頑張ったのだが、あえなくプチっと糸が切れてしまった。

残ったのはなんともいえないガッカリ感と絡み合った三人の仕掛け…


あーあ。

そしてワカサギも去った…

このブラックバスらしき魚が暴れ回ったことで、今までこのボート下に集まっていたワカサギの群れが見事に散ってしまったらしく、これをきっかけにプッツリとアタリが途絶えてしまった。なにすんだブラックバス。


らららー釣れないー。

まあこんな事もあるか。しかしワカサギが釣れなくなったら途端にお腹が空いてきてしまった。そういえば朝からなにも食べていなかったのだが、朝コンビニに寄ったときにミコさんの防寒をどうしようということに気を取られて昼飯の用意をまったくしてこなかったのだ。湖上での空腹ってなんだか漂流している人みたいで非常に不安になるねえ。私はブラックバスじゃないから釣ったワカサギをそのまま食べるわけにもいかないし。あーあ。

グーグーとイシモチみたいにお腹を鳴らしていたら(釣り人ギャグ)、ミコさんが「これをみんなで食べよう!」とバッグからなにかを取りだした。

ハッピーターン!

さすがミコさん。釣りにハッピーターンを持ってくる人っていうのを初めて見たよ。なんでだろう、急にミコさんが身に着けている救命胴衣が赤いちゃんちゃんこに見えてきた。


膝掛け+ちゃんちゃんこ+ハッピーターン=おばあちゃん!

わーい。


そうだ、トイレに行こう

お腹の中に食べ物を入れたら急にトイレに行きたくなってきた。とはいってもボートにトイレがある訳がないので一旦上陸せねばならぬのだが、このボートにはオールがない。かといってここですると二人に怒られる。尿意の限界はすぐそこまで来ている。でも大丈夫。釣り場にはボート屋さんのエンジン付きの船が待機していて、お願いすればトイレまで連れていってくれるのだ。

しかもボートを引っ張ってスタート地点までいくと一時間以上のロスになってしまうが、ボートはそのままに人だけがエンジン船に乗って近くの公園にあるトイレへいくという合理的なシステムなのである。ここがアメリカだったらチップを払う必要があるがそれも不要だ。さすが日本。


人だけがトイレに移動するシステム。

この人はカイロを何個貼っているんだろう。


釣り終了

トイレから戻ってきてもワカサギの調子は相変わらずで、たまーにアタリがある感じ。まあそれでももう夕飯分は十分に釣ったし、最近会う機会もなかったメンバーなのでダラダラと話をしながらのゆるい釣りを楽しむのもいいかな。

まわりのボートもボチボチ帰り支度をはじめた午後二時に釣り終了。

本日の釣果は、ええと、たくさん(数えていない)。


三人の釣果。まあ夕飯には十分です。

トイレは近場だったけれど、帰る先はやっぱりスタート地点。レンタカーみたいに乗り捨てシステムがないのが残念。ここでボート降りると駅までがもの凄いか。おとなしく来たときと同じように迎えの曳舟に10艘以上の船が連なって、のんびりのんびりとクルージングして帰りましょう。

しかし寒いんだよねえ。相模湖は東西に細長い川のような湖のため、すでに落ちかけてきた太陽の日差しは湖のまわりにそびえる山々に阻まれて我々の元まで届かない。太陽の力を借りないと我々はちょっと薄着過ぎるのだ。特にミコさん。

ボートで移動をしながらだと当然風も受ける。湖の上の風は冷たい。我々の後ろに繋がれたボートに乗っている親子は「とうちゃん、もう眠いよ…」「眠ったら死ぬぞ!」と雪山に取り残された遭難者みたいに励まし合っている。

そしてサガミさんとミコさんはフランダースの犬の最終回を思わせる安らかな顔をして、その瞼を閉じました。


パトラッシュ…ぼく、もう疲れたよ…

いや、もちろん二人が天に召された訳ではなく、怪我もなく無事に家まで帰り、友人達を呼んでみんなで釣ったワカサギを食べましたよ。


めでたしめでたし。


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rouxchan

釣られたワカサギだけが天に召され・・・
じゃなくて皆さまで美味しく召し上がったのですねw

毎回文章だけじゃなく写真のコメントも面白いです!
釣りの楽しさがすっごく伝わりました(^‐^)♪ 
次のゆる釣りも期待してますー
by rouxchan (2008-02-12 00:59) 

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