届いた野菜をお裾分け

	両親は定年後、山に住んで二人で畑を耕す生活を送っています。 そして東京に住んでいる娘の私や親せきに、野菜や米の詰まったダンボールを送ってきます。その野菜などの品々をお伝えするこのコラム、今回は送ってもらったものをある人にたくしてみました。さてどんな風に素材を使ってくれるのでしょうか。

text by 堀江優子

あけてびっくり

気温が徐々に本格的な冬となって参りましたが、実家の野菜作りの状況はどうでしょう。
母に電話してみたところ、「まだ出来てるよ」ということだったので引き続き送ってもらいました。

さぁきましたよ～。今回はどんな野菜かな～なんて思って開けたら、一枚母からの手紙が入っていました。

きたきた～さて、あけてみたら…→
確かにびっくりした。この手紙に。

優子ちゃんへ

「あけてびっくり 玉手箱」
お手紙くわしく書けませんでした。ごめんなさい！
では、またネ

母より
「新興なしです」

 
新興なしです。

どういうつもりで「あけてびっくり玉手箱」なのか…なんというか、迫力がある手紙でしばらく笑ってしまいましたよ。母はきちんと手紙を書こうと、いつも頑張ってくれてるのだなあ、と改めて思った次第です。
でもやっぱり語尾のカタカナの「ネ」を欠かさないのは、何かゆずれない信念でもあるのでしょうか。
入っていた梨は買ってきたもののようです。わざわざすみませんね。

大根も沢山送られてきましたよ。
セクシーな足ですね

大根をお裾分けいたします

このコラム、送ってきてもらった野菜を、自分で料理してご紹介するのがいつものスタイルなのですが、「両親の野菜を誰かにお裾分けしたい、そしてそれがどのような料理になるのか見てみたい」という興味がむくむくとわいてきました。ということで人にたくして料理してもらいます！
今回は連載コラム「とろろそばが出来るまで」を書かれている小川さんに大根をお裾分けしてみました。

 
どうもどうも！どうぞどうぞ！

さて、後日小川さんからどんな料理を作ったか報告していただきました！

堀江様

お疲れ様です。小川です。
このあいだの野菜で一品について、いただいた大根で「みぞれ鍋」をつくりました！
大根が甘くて、美味しかったですよ～。おすそわけありがとうございました。

以下、簡単なレシピです。

材料（2-3人前）：

大根	：多い方が美味しい。1本あるとよい
水菜	：これも沢山。好きなだけ。
豚肉	：バラ肉・もも肉好きなものを。別にしゃぶしゃぶ用とかでなくてよし
油揚げ	：これは絶対！油揚げがないと駄目です。いっぱいあった方がよいです
だし汁、酒 しょう油、塩	：適量
あとはお好みで好きなものを入れてください。 今回は上記の他に鱈と舞茸を入れました。ささがきにしたゴボウを入れても美味しいと思います。

みぞれ鍋の材料達。
お裾分けした大根ですね～

○作り方。

・水菜、豚肉、油揚げは食べやすい大きさに切ります。油揚げは特に湯通しなどはしなくて大丈夫です。

水菜を食べやすい大きさに切ります。
油揚げも食べやすい大きさに。

・大根おろしを作ります。大量に必要なので、フードカッターのようなものがあると楽です。もちろんおろし器で頑張るもよし。

秘密兵器、フードカッター。
大根おろしこんもり

・だしを作ります。かつお節と昆布を水から入れて、煮立たせます。沸騰したら火を止めて、かつお節と昆布が沈んだら出来上がりです(これはあくまで我が家流なので、相当乱暴だと思います。味をしっかり出すために結構ぐらぐら煮立たせます)
このだし汁に酒、しょう油、塩を適宜入れ、味をととのえます。大根おろしで薄まるので、結構濃いめの方がよいです。

だしは濃いめで。
大根おろし以外の材料を投入！

・だしを沸かせたところに、大根おろし以外の材料を入れていきます。

・材料を入れたら、それをふたするように大根おろしをひろげます。

大根おろしでふたをするように。
ふわふわしています。

・ふたをして、火が通ったらできあがり。
火を加えるので甘く、だしの染みた大根おろしと、くたっと煮えた油揚げの組み合わせがたまりません。
お好みでポン酢を少しかけると美味しいです。あと、薬味にゆずの皮をのせても美味。

 
もりもり頂きましょう。

 
豚肉がおだしとみぞれに絡まって美味しそうです。

みぞれ鍋、私は作ったことがないですよ！こうやって自分の作ったことのない料理に両親の野菜が使われるというのは、嬉しいような恥ずかしいような気持ちです。
そして大根をフードカッターで大根おろしにするというテクニックは私も使おうと思います。
今度ゆずや水菜、米や他の野菜もお裾分けさせてもらおう、などと勝手に心に誓ったことですよ。
というかみぞれ鍋、美味しそうですよ！小川さん、今度食べさせて下さい！