そばがらで枕を作ろう その1 [とろろそばが出来るまで]

ついに蕎麦の里のオーナーイベントが全て完了してしまいました。とても寂しいです。あとはいただいたそば粉でとろろそばを作るだけ・・・なんですが、そうは問屋がおろしません。そばから取れるのはそば粉だけじゃないのです。大事な副産物を有効活用してみました。

text by 小川 恭

コトの発端はこうだ。

そばの収穫に同行してくれた玉置さんが、そばを脱穀する手を止めて言った。

「このそばがらで、枕作ってみたら?」

・・うむぅ。なるほど。そういう有効活用法があるのか。
ひとつのモノからいくつもネタをひねり出す玉置さんはさすがである。
私はブリンカーを付けられた馬よろしく、「そば!とろろそば!」しか見えていなかった。

それでそば打ちの日にいただいてきたのが、これである。


どーん

・・・車の荷台を占領するかのように鎮座しているこの大袋こそ、頂戴してきたそばがらだ。向こうの担当の方はこれ全部じゃ多かろうと、小袋に分けてくれようとしたのだが、お手をわずらわせてはいけないと、このままもらってきた。
担当の方の、この袋を抱えて車まで運ぶ私を見る目が、ちょっと憐れみを含んでいたように思えたが、気のせいだろう。

ともあれ、そばがらは調達できた。
スーパーでそばの乾麺しか買ったことのなかった私が、そばがらの袋を抱えて帰ってくるようになるとは、なんとも不思議な感じだ。

それでは早速、そばがら枕づくりへ!

・・・と行きたいところだが

その前に、そばがら枕の作りかたを調べなくていけない。
闇雲にそばがらを枕カバーに詰めて、はい終わり。とはいかないだろう。

というわけで、インターネットで探したのだが・・・

載っていない。

そばがら枕の作り方がどこを探しても見つからないのだ。

おばあちゃんの知恵袋のようなハウツーがあるもんだと思っていたのに、「そばがら枕の作り方」と書いてあるものを開いてみれば、「布団屋さんで中身だけ売っているので、それをカバーに詰めれば出来上がり☆」みたいなものばかり。

・・・その中身をイチから作ろうとしてるんである、私は。

どうにもかゆいところに手が届かない情報の中から、役立ちそうな部分だけピックアップしたのが以下のものだ。

・そばがらにそば粉などが残っていると虫が発生する元となる
・市販の枕用そばがらは防虫処理がしてある
・防虫処理の方法には、煮沸消毒や燻蒸(くんじょう)などがある
・そばがら枕は洗ってはいけない

そういえばそばがらをいただく際、担当の方が気になることをつぶやいていた。

「これあんまり良いそばがらじゃないかもしれないんですよ・・粉がずいぶんくっついちゃって」


うっすら白みがかっているのはそば粉のせい

聞いたときはなんのことかよく分からなかったが、実際中身を見ると、このまま唐揚げに出来そうなくらい粉がまぶさっていた。手をつっこむたびにぼわっと粉が舞う。

どうもこれをちゃんと除去しないと虫が発生してしまうらしい。そばがら自体がとても細かいので、粉を拭き取ったり、風で吹き飛ばすような方法は困難である。

そうなってくると、やはりこのまま枕にするのは難しい。なにかしら防虫処理をしなければ。家庭で出来る防虫処理の方法の情報は得られなかったので、市販物に施す方法を参考にする。

燻蒸とは、字のごとく煙でいぶす方法だ。防虫効果のある燻蒸といって思いついたのは某薬品メーカーの殺虫剤バ○サンだが、あれでもうもうといぶしたそばがらで、顔に密着する枕を作るのはちょっと腰が引ける。うつぶせ寝なんてしたらなんだか危ないような気がする。
燻製用の木のチップなども考えたが、お肉を美味しいベーコンに出来ても、虫を追っ払う力が果たしてあるのか疑問である。

となると、選択肢は「煮沸消毒」しか残っていない。

しかしここでひっかかるのが、「そばがら枕は洗ってはいけない」という情報である。サイトによっては「湿気は厳禁!」と書いてあるものまである。

「煮沸消毒」VS「湿気厳禁」。

あまりにも相反するフレーズ対決。私に一体どうしろというのだ。

一大決心

しかし、悩んでいても仕方ない。先程ご覧頂いたとおり、ばかでかい袋につめこまれたそばがらが今や遅しと出番を待っているのだ。早く決断しないと虫が湧く。

というわけで、


ままよ!

いざ、水洗い!私は軍配を「煮沸消毒」に上げることにしたのだ。
粉まみれのそばがらをそのまま鍋で煮ると、粉がお湯に溶けて粘りが出てしまう。まずは枕一つ分、といっても量がかなりあるので、風呂場にてシャワーでざばざばと洗う。

水を入れた金だらいにざるを沈め、その中にそばがらを入れて振り洗うと、白く濁った水が流れる。

私は1回ずつざるに取り分けて洗うつもりだったのだが、カメラマン兼お手伝い、ということで来てもらった友人は、そばで見ているうちにまどろっこしくなってきたらしく、取り分けてきたバケツにジャーッと水を入れてしまった。すると、


なんですかこれは

見る間にぶくぶくと泡が発生した。おそらくそばがらのアクがでてしまったのだろう。増え続ける泡が生きもののようである。恐い。湿気厳禁の掟を破った罰か?

しかしもうあとには退けない。とにかくこれを洗って、煮て、干すしかないのである。

原因を作った友人にその後の水洗いを任せて、水洗いの終わった分のそばがらを煮る準備に取りかかった。

以下、次回に続きます。


※今回のそばがら枕の作り方はあくまでも自己流です。間違いも多々あると思いますが、あしからずご了承下さいませ。また、本当の作り方をご存知の方、教えていただけるととても嬉しいです。。


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