そばのお花見を楽しもう その2 [とろろそばが出来るまで]

     

生まれてから27年間、ずーっと東京で暮らしている。特に不便を感じたことはないが、たまに自然にどっぷり浸かりたくなる。そういえば、自然を見ることはあっても自然にダイレクトに触ることってないんじゃないか?土に触れたり、生きものに触れたり。そうだ、あわよくば収穫の喜びなんて味わってみたいな。そんな願いを叶えてくれる、うってつけのシステムがあるというのでやってみました。

text by 小川 恭

看板の自己主張に驚く

やっとこさ現地に到着して、まずご対面したのは自分の名前がこれでもかと大きく書かれた立て看板であった。


思わずがぶりよりでカメラにおさめる

私は無理を言って途中参加をさせていただいているので、振分けられる蕎麦畑は、端っこの方にちょっこりもらえるようなもんだと思っていた。

・・・まさか同じ端っこでも、最前列の端っことは思わなんだ。


多分置き場に困ったんだと思う

しかも他の皆様はもう2ヶ月ほど前から立ててあるので、いい具合にこなれてきているのだが、私のはといえばインクもまだまだ濃く、見るからに新入りである。

良く言えば初々しく、悪く言えば図々しくて空気が読めない。

なんだか自分の人格を見抜かれたような気すらした。

開会式がはじまるよ

さて、看板にばかり気をとられていても仕方ない。
段々畑の真ん中にある休憩所には続々と人が集まっていた。もうすぐ花祭りの開会式が始まるのだ。


曇り空でもすごい人

テントの下で受付を済ませる。ここで初めて、私の頼みを聞いていろいろ手配してくださった甘楽町役場の山田さんにお会いすることが出来た。
名乗った途端「ああ!小川さん!」とものすごい反応をされて、おかけしたご迷惑の多さを痛感する。それでもにこにこと感じよく対応してくださった。
資料一式と入門証、それと今日の花祭りの軽食引換券をいただく。

そしていよいよ開会式が始まった。

式辞を述べられた、甘楽町振興課の課長さんのお話によると今年の甘楽町は台風の被害が深刻で、この畑を守るのもとても大変だったそうだ。

確かに蕎麦畑に来るまでの道路にも工事現場がいくつかあり、中を覗くと陥没してしまったような跡があった。また、この畑の周りの山々にも、緑の森をがりっと爪で引っ掻いたような地崩れの跡がまだ残っていた。

言われてみれば、へええなるほど、と思うが、この満開のそばの花を見ていると、そんなことがあったとはとても信じられない。

だが、この花祭りでは、催しものとして「那須の獅子舞」を披露するのが常であったが、今年はその被害状況などから地元の秋祭りも中止となり、合わせて花祭りの獅子舞も中止となってしまった。

その代りにビンゴ大会なども用意しましたので、ゆっくり楽しんでいって下さい!と課長さんは締めくくった。

その一生懸命さや、私たちからは見えない努力を思うと、なんだかお金だけ払って、いろいろセッティングしてくださったところにひょこっと遊びに来て、おいしいところだけ味わって帰ることが申し訳なくなるほどだ。
こういうありがたさをしみじみ感じられるのもオーナー制度のいいところかもしれない。

お楽しみはこれからだ

開会式も無事終了し、各自それぞれ好きな場所に散っていく。

休憩所前では火をおこしているので、それを囲んで談笑する人もいれば、カメラを片手に良い景色を探す人・・・。ペットの犬を連れてきている人も多かった。


思い思いの楽しみ方


こぐまみたいな犬に吠えられる

見回すと私たちより世代がずっと上のご夫婦やグループが一番多く、次に小さい子供を連れた若いご家族が多い。

山田さんに伺ったところ、甘楽町ではもうこの蕎麦の里を12年続けていて、その最初からずっと参加し続けている方もいらっしゃるそうだ。

20代だけの友達グループ、というのは私のところぐらいだった。

若干周りから浮いている感じが否めないが、同行者ともども我が道を行くタイプなので、あまり気にしていない。

みんなそんなことより気持ちが行っているのはテントの奥で煮えている猪鍋のことだ。


そのでかい鍋がたまらない

生まれて初めて食べる猪鍋に私たちの期待は高まる。

つづく。


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